従業員10名未満でも就業規則が必要な理由とは?

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中小企業の経営者の皆様、「就業規則」や「社内ルール」を
整備する必要性を考えたことはありますでしょうか?

「うちは小さい会社だから、厳密な規則なんていらないんじゃない?」
「うちは従業員が10名未満だから作る必要はないのでは」
と思われる方も多いかもしれません。
しかし、規模の大小にかかわらず、一定のルールを整えることは
企業運営の安定と成長にとって重要な要素です。
本記事では、その理由についてわかりやすく解説します。


1. トラブル防止のため

社員数が少ない場合、社員間のコミュニケーションが近く、
トラブルは起きにくいと考えるかもしれません。
しかし、例えば以下のような問題は規模に関係なく発生する可能性があります。

  • 勤怠に関する認識のずれ(遅刻や早退、残業の扱い)
  • 給与や手当についての不明確さ
  • 解雇や退職に関するトラブル

これらの問題は「ルールがなかったから」という理由で
トラブルに発展することが少なくありません。
明文化された規則があれば、解釈の違いを防ぎ、
問題発生時にスムーズに対処できます。

退職時のトラブルでは、例えば以下のようなケースがよく見られます。

  • 退職希望のタイミングと会社側の都合が合わない
  • 未払い残業代や退職金の請求をめぐる争い
  • 機密情報の取り扱いについての問題

退職時の手続きや守るべきルールをあらかじめ明文化しておくことで、
双方にとってスムーズな退職が可能になります。

また、近年の人財不足を背景として、悪質な従業員が入社するケースも増えています。
例えば、経歴詐称や勤務態度の問題により職場に悪影響を与える例も少なくありません。
採用段階からルールを設け、試用期間の基準や就業規則を明確にすることで、
こうしたリスクを軽減できます。

さらに、従業員が子供の病気や家族の介護といった事情で
休暇や退職を希望するケースも増加しています。
こうした状況に備えて、休暇や退職に関する規則を整備し、
柔軟に対応できる体制を構築することが求められます。
従業員が安心して仕事と家庭を両立できる環境を提供することで、
離職率の低下や信頼関係の向上が期待できます。


2. 法律に基づいた運営のため

日本の労働法では、従業員10名以上の場合に就業規則の作成が義務付けられていますが、
10名未満の企業でも、当然、法令を守る必要があります。
特に、以下の点はどの規模の会社でも重要です。

  • 労働条件通知書の発行(労働基準法第15条)
  • 適切な労働時間管理
  • ハラスメント対策の義務(パワハラ・セクハラ防止)

法律に基づいて運営するためには、最低限のルールを整備しておくことが欠かせません。


3. 企業の信頼性向上

規模が小さい企業ほど、従業員の信頼が経営の成否を左右します。
社内ルールを整備し、“透明性”や“公平性”を示すことで、
以下の効果が期待できます。

  • 従業員の安心感とモチベーション向上
  • 社外からの信頼感アップ
  • 採用活動でのアピールポイントになる

規則が整っていることは、働く環境が整備されている証拠でもあります。
これが、優秀な人材を引き付けるきっかけになることもあります。


4. 経営者の負担軽減

明確なルールがあると、従業員との対応に一貫性が生まれます。
結果として、経営者が個別対応に追われる時間が減り、
本来の経営や営業活動に集中できるようになります。

例えば、給与計算や休暇管理のルールが明確であれば、
毎回の対応がスムーズになり、無駄なストレスを軽減できます。


まとめ

従業員が10名未満の小規模企業でも、規則の整備は必要不可欠です。
それは、トラブル防止、法律遵守、信頼性向上、そして経営者の負担軽減といった
多くのメリットをもたらします。

もし、「何から始めればいいかわからない」と感じているなら、
専門家への相談がおすすめです。
社会保険労務士は、企業の規模や業種に応じた最適なルール作りをサポートします。
まずは小さな一歩を踏み出して、強い組織作りを始めましょう。